老舗が仕掛けた弱者の戦略
スイスの時計メーカーにスォッチと言うのがあります。かなり有名なのでご存知の方も多いと思います。
あの会社、ムーブメントはスイス特有の超精密機械でありながら世界中のデザイナーの力を借りて超オシャレな腕時計を販売し続けているのです。しかも数も限定生産、年に数回の限定バージョンを販売してコレクターズアイテム化しているのです。この戦略って以前はとても珍しい戦略であったと記憶しています。
今ではドイツの自動車メーカーのベンツと提携して車も走らせているのでそのブランディングの幅もかなり大きくなっていると言えるでしょう。
スイスの時計は以前はメカニカルな部分において世界で最高の信頼を手にしておりました。それがいつしか日本製のクォーツ時計にやられてしまい高額かつ精密機械であるスイスの時計は気付けばマーケットが1/10になってしまっていた時期もありました。しかしスォッチのように弱者の戦略を取る事によって見事な巻き返しを計り今ではかなりのマーケットを取り返しています。
スォッチのその非常に面白く特筆すべき点はかなりの大きな資本力と話題性を持ちながら常に弱者の戦略を取り続けている点です。決して無闇に大量生産しない。その割にムーブメントはとても数の少ないプラットフォームを使い回し、デザイン性と言うソフトな部分のバリエーションを持ってコレクターズアイテム化する。さらにはそのデザインも希少性の高いデザイナーに依頼する。四季折々のデザイン性や国家的イベント(オリンピックやワールドカップ)などそして毎年のイベントとしてクリスマスなどの限定生産品を生み出す話題性の作り方。どれも参考になる戦略ばかりです。
スポンサーリンクこの作戦は応用が出来る
これって同じように戦略が構築出来る事がお解りでしょうか?有名デザイナーにラベルデザインをお願いしたり特殊なデザインの箱を使ったり、また鉄道会社とコラボして駅毎に限定生産品にしたり、その可能性はかなりのバリエーションが作れると思うのです。もちろん話題性も必要なので広報能力の重要性もありますね。
ネット戦略のワナ
ネット戦略での広報はとても重要なのですが、残念ながらネット戦略ではブランド力は上がりません。知名度は上がりますが。そう言う意味でネット以外の広報能力を身につける必要がありますね。特に開発して販売するものが歴史と伝統に基づいた製品(酒とか伝統工芸品〜彫りとか、何百年の歴史ある名菓等)はネットの販売だとブランドを損ねるリスクすらあります。なので通常の販売に話題性を盛り込むスキルが必要になります。
出版も然り
これは同様に出版にも同じ事が言えます。イベント的には観光案内的な雑誌掲載も良いのですがある程度覚悟があるのであればメイキング的な写真集や代表者の製品開発記のような書籍がいいと思いますね。それを出版するだけでもブランディング出来ます。その際にデザイナーや現場の人との対談等を入れるとさらにそのイメージは良くなっていきます。
弱者の戦略は強者にも通用します。しかし弱者には弱者の戦略しか使えないのです。