イベントで疲弊するふるさと
近年、イベントに依存した地域おこしが結果としてふるさとを疲弊させていると言う話を耳にします。これはあながちいい加減な話ではありません。そもそも、ふるさとを活性化する名目で作られた箱物行政の結果をいかにも効果的に活用しているフリをするために次々とイベントを仕掛けて、結果的に大した成果も得られないまま地元の人たちを疲弊させていくのです。
人口減のエリアで集まる人数
元来、人口が減りつつあるエリアでイベントだけを仕掛けても集まる人数はたかが知れてるわけです。なので実はそのイベントを開催する前におおよその動員数は目に見えていると言うのが現実のはずなのです。それをあえて夢を見させるかのように大きな建物や大きなイベント会場を作り大げさに振る舞っても結果的に人は予想以上に集まらず地元が投資した金額さえ回収出来ずに終わる事などは当たり前に起こる事なのです。
箱物行政にもの申す
とあるエリアでは10数年前に予算縮小派の市長が当選し、かなりの割合で赤字財政を立て直したエリアがありました。ところがそれでは腹の虫がおさまらない建築関係者は次期市長をあの手この手で味方に引き入れて、せっかく緊縮財政が改善されて来た市の予算をドンドンと箱物行政に費やし、今では国民年金積立金すら取り崩して箱物行政を続けているとの事。そのエリアは2030年には人口が半減すると言われ、東京オリンピック後数年で住民税と所得税で今の納税額の2倍くらいの税金になる事が想定されるにも関わらずその是正を説く人は誰もいないとのこと。これでは地域おこしもなにも不可能になってしまう事は明白です。
そして作られた箱は十数年でメンテナス料が高額になる事を理由に民間に払い下げてしまうと言うことを繰り返しています。しかし費やされた税金は返って来ません。またその箱物行政を正当化するためにむやみやたらと祭りが増えて少ない人口に対して祭りの数だけで地元が疲弊してしまう有様になっています。
必要なのは箱ではなくマーケット
元来、地域が潤うためにはその人口対比で何倍ものマーケットが必要です。つまりうるための努力ですね。それを公共が後押しせず、民間に「勝手に売れば?」と投げられて勝てるエリアは少ないと思います。実際にふるさと物産館のような販売網を見ると北海道と沖縄が異常に強いのは単なるお国柄ではないのです。やはりリゾートを抱えるエリアはそのために落ちる予算も多く、それを活用しやすい背景があるのは否めません。
勝負するところを間違えない
となればその予算が期待出来ないエリアはソフト面と広報能力で勝つしかないのです。またグローバル化を想定した地域おこしをするしかありません。北海道や沖縄と並んで箱物を用意しても運営を続ける予算がないのです。
また若者や学校を有効に活用し若いセンスと若い想像力に基づく開発が必要になります。特定の企業に予算を割いてまで開発を行なってもそれだけでは勝負にならないのです。他の都道府県も行なっていますから。
イベントに依存せず、独自の路線を辿らない限り国全体の衰退から地域を切り離した地域おこしは不可能と言っても良いでしょう。